神山椎茸生産販売協同組合

「菌床しいたけ」ってどう育つの?

「しいたけ」というと、木に生えるアレ…と思う方が多いと思いますが、それは「原木しいたけ」のこと。菌床しいたけはおがくずなどを元に培地を作り、菌種を植え付けた「菌床」に生えるしいたけです。

原木しいたけは、古くから作られているので、見かけた方も多いと思いますが、菌床しいたけは温度、湿度の管理できる空調施設で作るため、なかなか目にする機会はないかもしれません。

ここでは、当組合がどのように菌床しいたけを育て、出荷しているのか。詳しくご紹介します。

菌床しいたけが育っている様子

菌床づくり/しいたけがおいしく育つ「土台」をつくる

菌床しいたけを作るには、まず土台となる「菌床」から作ります。
四国でのびのび育った新鮮な広葉樹の生木を粉砕した「おがくず」に、清らかな地元神山の水と栄養材をミキサーで混合し、袋に詰めた菌床を圧力窯で雑菌が増殖しないように一度殺菌。その後、しいたけの種である菌種を植えつけて準備完了!
トラックでしいたけのために環境を整えた培養ハウスまで運びます。

  1. おがくず化

    四国西部でのびのび育った広葉樹を、生木のままおがくずに。

  2. おがくずと栄養材を混ぜる

    おがくずと、ぬかやふすまなどの栄養材をミキサーで混ぜます。

  3. ふくろ詰め

    菌が呼吸できる専用のふくろに詰めます。

  4. 滅菌

    雑菌を取除くため、巨大な圧力釜で一度高温殺菌。

  5. 菌をまく

    滅菌後、無菌室でしいたけの種となる種菌をまきます。

  6. 菌床のできあがり

    袋上面をシールして密閉しスタンバイ完了!

  7. 培養ハウスへ

    スタンバイできた菌床から培養ハウスへ運びます。

  8. 後は発生を待つ…

    培養ハウスの棚にピッチリと並べられます。

配合の見極めと調整が秘訣!

美味しい椎茸は、より良い菌床から生まれます。菌床に含まれる栄養体や水分の構成は、しいたけの大きさや収穫量を左右する大事なポイントです。特に、菌床の材料をミキサーで混ぜる時に加える水は、その日の菌床の製造量や、天候、気温などを見極めて加減が必要なため、大変気を遣います。含まれる水の割合で、しいたけの大きさや収穫量が変わってしまうからです。

写真:河野宏貴さん

フォークリフトのバゲットを持ち上げた感覚だけで、その日に必要な材料の量をピッタリと測り、ミキサーに入れていきます。菌床の質を決める重要なポイントだからこそ、皆で意見を出し合い工夫改善しながら作業を行っています。

最近では材料を仕切る壁を新調し、より掃除が行き届き材質の安定化がはかれるようになりました。お客様にもっと美味しく、もっと安心して召し上がっていただけるよう今後とも頑張っていくつもりです。

しいたけ菌の培養/美味しいしいたけが育つ環境を作る

製造された菌床は、秋のような少し涼しい培養ハウスに約100日間置かれます。しいたけ菌は、心地よい環境で新鮮なおがくずの栄養を食べ、ゆっくりと菌床全体に伸びて行きます。

  1. 7日経過

    菌糸がどんどん伸び、あちらこちらに白い斑点が現れて広がっていきます。

  2. 14日経過

    菌床全体が真っ白に。菌糸がおがくずを食べて、中までふわふわに。

  3. 100日経過

    真っ白の菌床から、なんとまた茶色になり、表面が硬くボコボコに!まるで木の表面です。

酸素と温度のバランスが最重要!

たくさんの酸素で呼吸量が増え菌糸がどんどん伸びて行くので、換気して新鮮な酸素をハウス内にたくさん取り込むことが大切です。酸素を吸った菌糸は元気いっぱいとなり発熱するので、発熱時の温度制御が特に重要となります。
当社では、常時全ての培養ハウスの温度・湿度・CO2量を測定してデータ分析をし、管理に役立てています。

写真:林敏行さん

この約100日間の培養でしいたけ菌が元気に増殖するかどうかが、大きく味良いしいたけを育てる決め手です。当初は苦労しましたが、今では菌床の“表情”で様子がわかるようになりました。例えば、菌床の袋の中に水滴が溜まっていると、「元気に呼吸しているな」と感じ、発熱で熱くなりすぎないよう、ハウス内と菌床の温度差が大きくなるように温度・湿度・空気の流れを調節しています。

大事な仕事を任されている責任感と、社員と意見交換しながら取り組める社内環境で、お客様にもっと感動を届けられるよう頑張っています。

しいたけの発生/しいたけの成長を見守りながら環境調整

写真:しいたけが発生している様子

約100日経ち、十分菌が増殖された菌床は発生ハウスへ。運ばれた菌床の袋を開け、“刺激”を与えてしいたけの発生を促します。その後、大きくて品質の高いしいたけが育つよう、温度・湿度のチェックや間引きなどの管理を行います。

約10日くらいで大きなしいたけが生え、しいたけの膜が開く前に収穫。集荷場に運びます。

しいたけが一番成長する時期はいつ?

それはズバリ「秋」!
きのこの旬である秋の季節は、もちろんしいたけにとっても最適な季節です。しいたけの旬である秋を一年中再現したハウスで、より大きなしいたけをさらに作れるようにしようと更に力と慎重さに磨きをかけるのです。

写真:田中進さん

神山しいたけ(北研715号)は、大きく肉厚に育てることがとても難しい菌種ですが品質はピカイチです。しいたけ菌の状態や、発生ハウスの温度が少しでも変化すると、大きさや厚さ、生え方が変わります。季節や天候などのその日の状況をみながら最良の育成条件を細かく調節・判断しています。

いつもドキドキしながら毎日成長を見守っており、まるで子供を育てる親のような気持ちになります。そんな苦労を乗り越えて、納得のいくしいたけができた時が何より嬉しいです。丁寧に育てたしいたけは非常に肉厚で、胸を張ってオススメできるおいしさです。

ふくろ詰め・出荷/さあ、お客様の元へ!

写真:ふくろ詰めされたしいたけ

ハウスから収穫されたしいたけは、大きさや品質ごとに仕分けられます。
仕分けされたしいたけは、ふくろやトレーに規格ごとに包装され、出荷まで大型冷蔵庫で保管します。品質、鮮度、異物混入については、各作業ごとに厳しくチェックし、箱詰め前の最終検査として金属探知機を設置しています。放射線量・農薬の検査も定期的に実施し安全を確認しています。

  1. 仕分け待ち

    ハウスから収穫されたしいたけ。仕分けを待ってます。

  2. 品質チェック

    大きさや品質をチェックしながら仕分けしていきます。

  3. ふくろ詰め

    仕分けされたしいたけは、袋またはトレーに詰められます。

  4. 異物チェック

    異物混入のチェックは二人で。金属探知機でも入念に行います。

写真:成尾英樹さん

自信をもって商品をお届けできるよう、細心の注意を払って出荷の準備をしています。商品を大きさや等級によって仕分け、出荷前の最後のチェックをするのが私の担当です。

安心安全な商品を確実に出荷できるよう一日中集中力を保つことは大変ですが、社員との他愛ない話や、お客様から「また食べたい!」と注文を頂くことが何より嬉しく、また頑張る活力が湧いてきます。みんなで心をこめてお届けする神山しいたけをぜひたくさんの方に召し上がっていただきたいですね。

神山しいたけが大切にしていること

神山しいたけは、徳島県のほぼ中心に位置する自然の豊かな神山町で、
徹底した品質管理のもと、安心で美味しく味わっていただけるように作られたしいたけです。その秘密は「真心」にあります。